患者さんの体験談ケース2

自分の力で自由に

「家族の負担を減らしたい」

60代女性
(夫・長女・次女と同居)

━━ 仕事も家事も取り仕切っていた私が、突然、脳梗塞に

脳梗塞の発症は今から3年前です。朝、起きたら突然倒れ、救急病院の脳外科に1カ月入院。手術はせずに、点滴・投薬による治療と電気治療を受けました。退院後はリハビリ専門病院に4カ月ほど入院し、今は自宅でリハビリを続け、2~3週間に一度、通所リハビリ施設に通っています。脳梗塞で倒れる前は、塾を経営し、仕事も家事も全部自分で取り仕切っていました。それが急に動けなくなり、自分のことすらひとりではできなくなって、家族の世話になることがつらかった。とくに仕事関係の後始末を夫と娘たちに頼むしかなく、迷惑をかけてしまったという思いがあります。

━━ 左手と左足に強いつっぱり(痙縮 けいしゅく) 、リハビリで少しずつできることが増えていく

脳梗塞の後遺症では、とにかく左手と左足の痙縮が強く、一番ひどかったのは左手の小指と薬指。利き手が右手だったことが救いでした。自分の症状が「痙縮」であることは知っていましたが、実際には、「つっぱる」とか「動かしにくい」といった言葉をつかって話すことのほうが多かったですね。いつになったら治るのか、つっぱったときにどうすればいいのか、わからないことだらけでしたが、理学療法士さんや作業療法士さんに、「とにかく動かすことが大事」と言われ、リハビリを続けました。最初は、階段を下りることができず、電車などの乗り降りも怖くてできなかったのが、今ではなんとかひとりでもできるようになりました。食事の支度もしていますが、前は20~30分でできたことが今は1時間以上かかったり、途中で疲れて休憩したりしています。でも、少しずつでもできることが増えると、前向きな気持ちになりますね。

━━ 「負けていられない」という気持ちに

リハビリ施設で同じように頑張っている人を見ると、「負けないように頑張ろう」という気持ちになりますし、一家を支える妻、母として「強くならなきゃ」という思いでリハビリを続けています。自宅に戻ってからは、痙縮の治療を行っている病院などをインターネットで調べたりもしました。発症したころと比べるとよくなっていますが、やはり完全に元通りになることはなく、痙縮はずっと残るという気もします。でも、新しい治療法があるのなら、どんなことでも試してみたい。家族に迷惑をかけたくないし、ひとりで自由に動けるようになりたいですから。きっと10年後にしようと思ってもできないから、挑戦するなら「今」しかないと思っています。

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